こだわり① 型紙(1)
スーツの設計図とも言える“型紙”。
当店ではお客様の採寸値に応じて一人ひとりの型紙を作ります。
ベースとなる型紙は、培ったノウハウを詰め込んだ当社オリジナル設計の自信作です。 自然な着心地、腕の動かし易さ、上衿付けや袖付けの精度、そして何より格好良さを追求しました。
そこに採寸値による調整と、対面採寸で把握したお客様の体型的特徴による調整も加えて一人ひとりの専用型紙を完成させます。 これを体型補正と言い、数値に表れにくい体型的特徴を型紙に盛り込みます。
今では画像データから、2点間距離計測や型紙様の平面図の切り出し等、いろいろなことができます。 しかしそれらは、これまでの数多の仕立屋の知の蓄積や、伝統的な製図法に立脚したものではありません。
スーツにも当然、製図上のセオリーがあります。私どもは先人の知恵に学びつつ、皆さまによりご満足いただけるスーツを作っていきたいと考えています。
こだわり② 材料(表地)
当店では見えないところまで伝統的な材料をセレクトすることにこだわっています。
それは天然素材であったり、熟練の技と知識を詰め込んだ国産品だったりします。
その多くは今や高級素材でかつ希少品になりつつあるものです。

表地は各種高級服地を取り揃えております。
国産品や舶来品生地の中から、スーツ・フォーマル・ジャケットなどご用途に合わせてお選びいただけます。
ウール100%はもちろん、季節に合わせてリネン入りを選んだり、光沢を求めてシルク入りを選んだり、 カジュアルなテイストを狙ってコットン混紡にしたり、着用イメージに合わせてお選びいただけます。
こだわり② 材料(裏地、副素材)
裏地はコットン由来のキュプラもあります。
通常はポリエステルの裏地が普通ですが、キュプラの裏地は光沢があり、肉厚であり、滑らかな手触りであるのが特徴です。当店では、腕の通し易さからキュプラ袖裏を標準使用しています。

釦も椰子や貝殻、角(水牛)素材など希少になりつつある素材もあります。
ナット釦というのはヤシの木の種の部分を削りだしたものです。貝釦は、黒蝶貝などの内側の真珠層(虹色に見える)を利用して抜き出したものです。 角釦は、水牛の角を輪切りにして抜いたもので、釦の中から外に向かう線状の模様は、骨の髄の部分です。

当社はこれらを国内加工している先から仕入れています。
安定した品質と綺麗な仕上がりのこれらパーツはスーツの仕立てと見映えに大きく影響します。
また、注文時にお客様のお好みで素材、柄、色などをお選びいただける素材なので、こだわった満足感を感じるパーツでもあります。
こだわり② 材料(芯地 その1)
当社のスーツブランドRISSIはさらに一歩踏み込んだ、見えないところまでのこだわりが自慢です。それは“毛芯”です。

どこに使うかというと、毛芯は服の前面の表地と裏地の間に挟んで使用します。完成すると全く見えなくなる場合が多いです。
しかし、毛芯無くして伝統的な良いスーツは作り得ないといっても過言ではないほど重要です。

当社ではRISSI専用の別注高級フル毛芯を使用しています。またオーダー内容によりハードタイプとソフトタイプを使い分けます。

毛芯は家で言うと「基礎や柱」にあたります。
バストの厚みやウエストから裾へ綺麗に流れるラインを形成し、ウールという天然素材故の乾湿による伸縮を緩衝してスーツの保形性を高め、 体型をカバーし綺麗に見せるなど、受け持つ機能は多岐でまさに縁の下の力持ちです。
毛芯無くして伝統的な良いスーツは作り得ない、と断言した理由です。
こだわり② 材料(芯地 その2)
フル毛芯は総毛芯ともいい、スーツ前面の裾までの丈のあるものを言います。丈は7分や5分といった短いものもあります。

また、当社使用の毛芯は天然素材の塊です。キャメル、馬、ヤク、山羊、羊、など、実に細やかに使い分けて三重四重に素材を重ねながら、胸にボリュームを出したり肩先に張りを出したりしています。

しかし完成後は見えない事から、残念ながらコストダウンの対象とされ易いパーツで、昨今のオフィスカジュアル化の流れもあって、今では素材と作りに拘り抜いた毛芯の入手が困難になってしまいました。

しかし、当店ではRISSI用特製毛芯を、東京の毛芯専門製造卸の老舗から仕入れています。もちろん加工は国内です。
その専門卸の社長は毛芯作りに並々ならぬ「矜持」を持って取り組んでいる方で、毛芯のプロフェッショナルとして、この方以上の人を私は知りません。
当店のスーツに用いている特製毛芯は、今やとても貴重なものです。
こだわり② 材料(その他)
 もう一つ見えないところまでのこだわり。それはポケットの袋地やスラックスのベルト裏などに使う素材です。
 RISSIは綿100%素材(中級以上のグレードに使用)です。市販品のほとんどはポリエステルか、良くて綿とポリエステルの交織です。
 綿100%素材は、なんといっても肌触りが違います。厚みもふっくらして丈夫でもあります。
 当店の最上グレードでは高級感あるクリーム色を使い、スラックスのベルト裏もとてもクラシックなタックの入った作りにした、これもRISSI専用別注品です。
こだわり③ 仕立て・縫製 その1
当社は50年間スーツを作り続けてきました。製造ラインには50年のノウハウが詰まっています。

縫製品は、現状の作り方では機械による自動化が困難な製品で、作業者の手で多数のパーツを組み合わせながら、立体的で複雑な形状に縫い上げていきます。
中でも、重衣料と呼ばれるカテゴリーのスーツの仕立ては、とても手間がかかるものです。

柄を綺麗に合わせるために手裁断する場合もあります。手裁断は、生地を広げて型紙を置きチャコで線を引き、一つ一つ鋏で裁っていくものです。型紙は、縫い合わせた時に柄が揃うように調整しながら生地へ配置していきます。

仕立て上げた時に、柄を綺麗に出すことを「柄を通す」といいます。よく例に出るのがスーツの上衿の部分です。縦方向の柄を上衿と背中で合わせるのはもちろんですが、当社では横地の柄も通します。 これには上衿に「クセ取り」という丁寧なアイロン作業が必要になり、とても手間をかけた作り方になります。 クセ取りは、熱によって軟化し冷えると硬化する熱可塑性という性質を利用した成形方法です。 元形状に加熱し変化させ成形することで、柄を通すために棒状に裁断した上衿を、首回りに沿うように成形し直すものです。
こだわり③ 仕立て・縫製 その2
毛芯を使った縫製は、毛芯を使わない場合と比較して大幅に工程数が増える仕立て方になります。ただ単に毛芯を表地と裏地でサンドイッチにしている訳ではありません。 より人の身体に沿わせるために、より服を美しく見せるために、そして湿気や乾燥による表地の伸縮の緩衝機能を果たすために手をかけています。仕立て上げた後も、表地と毛芯が少し上下左右に動けるような縫い方をしていきます。

また、肩回りも重要なポイントです。腕を通した時に、肩に綺麗に沿ってくれている服は着心地の良いものです。 当社ではこのような着心地を目指して縫製していきます。この状態(「前肩にする」といいます)に仕上げるには、設計・裁断・縫製・仕上げの全ての工程で、その着心地を狙って作業していくことです。前肩は部分的な工夫だけでは成し得ません。

また、丈夫にしたい釦付けは手付けする箇所もあります。

このように様々な工夫をしながら手間を掛けて仕立て上げていきます。
これらのことが、素材の風合いを最大限に引き出した、触れて柔らかく、着易く、しかし型崩れしにくい、良きスーツを形にしていきます。
こだわり④ 企画設計・製造・販売
RISSIのスーツは企画設計、製造、販売を全て自社で行なっています。

首都圏の主要な百貨店で取扱いのオーダースーツと比較した時、オーダー方法も、素材も、仕立て方法も、全てにおいて引けを取るものではないと自負しております。むしろ勝る点が多いとも思います。

RISSIのスーツの原価率は、一般的なアパレル製品の約2倍という、普通ではあり得ない商品設計になっています。つまり、商品グレードに対して、価格はとてもお求め易くなっています。

それを可能にしているのは、企画・製造・販売のすべてを自社で行なう、ダイレクトtoコンシューマーの仕組みです。自社店舗と自社工場が、しっかり連携を取りながらお客様のスーツを作り上げるようにしています。
こだわり④ 企画設計・製造・販売
当社では、早期から製造小売りに取り組んできました。自社の実店舗クロスステージが開店して8周年になろうとしていますが、それ以前からファクトリーショップ形態でオーダースーツ販売に取り組んできた歴史を持ちます。

テーラーメイドカーという、キャンピングカーのキャビンを採寸用個室に改造した車もあり、出張販売でも、特別な対応が可能になっています。

クロスステージでは、お客様にゆったりとした気持ちで、スーツのオーダーという非日常的な体験を楽しんでいただきたいという想いから、本格的ドリップコーヒー等を提供するカフェラウンジも併設しております。

極上の空間で「スーツを楽しむ」ひとときを、是非ご体験くださいませ。
こだわり⑤ アフターサービス
 当店では、納品後も大事に着続けていただけるように、お客様のサポートが出来ます。
 自分たちの手で一着一着仕上げたスーツのケアは他人任せにせず、自社対応できる体制を整えています。
 クリーニングサービスもその一環です。
 当社は市内のクリーニング工場と提携し、スーツの水洗いを可能にしました。スーツは通常ドライクリーニングをしますが、油性洗浄液とともに洗濯ドラムに投入される行為は、高級スーツにとってはストレスとなります。
 着用時に表地が一番吸収してしまう汚れは「汗」ですが、その汚れを取るには水による漬け置き洗いが一番です。ウールは濡らしても激しく繊維を動かさなければ縮むことはありません。
 提携クリーニング工場で丁寧に水洗いされたスーツは、当社の仕上げラインで、製造時と全く同じ手仕上げが施されます。この際、ほつれなども直していきます。
 これらも、自分たちで仕立てたスーツだからこそ可能なことです。

 以上のように、RISSIのスーツは、スタイルや仕立て方、素材使いなど全てにおいて伝統に基づいて真っ当なお仕立てをし、それを合理的な仕組みと、適正な価格でご提供するものであり、他とは一線を画した価値をお客様にご提供できるものと自負しております。